クマべえ先生の行政書士試験合格ゼミ

過去問講義 H17年地方自治法のページ

◆重要度:高

問題17 普通地方公共団体の議会(以下、「地方議会」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 地方議会の議員の職務は、戦前は報酬なしの名誉職とされていたが、現在は、条例の定めにより、報酬および期末手当の支給と費用弁償を受けることができる。
 地方議会の議員定数は条例で定めるが、各地方自治体が最も適正と考える議員定数を自由に定めることができるわけではなく、都道府県と市町村の人口規模に応じて法律に定める範囲内でなければならない。
 地方議会の議員は、衆議院議員・参議院議員を兼職することができず、また他の地方公共団体の議員や、地方公共団体の常勤ないし短時間勤務の職員を兼ねることも禁止されている。
 地方自治法は、町村に限ってではあるが、議会をおかずに、これに代えて、条例により選挙権者による総会を設置することを認めている。
 地方自治法の規定する議会の議決事項は限定列挙と解されているため、地方自治体が条例によって、自治事務につき議会の議決事項を追加することは認められていない。

【問題17の解説】 難易度:標準

 地方自治法の条文の知識を問う問題です。問題文のちょっとした言い回しに引っかからなければ、比較的簡単に正解できるように思います。

 肢1:まず前半部分ですが、これは肢の文の通りで、地方議会の議員の職務は、戦前は報酬なしの名誉職とされていました。
 ですので、この部分は妥当です。

 次に後半部分ですが、地方自治法203条1項に「普通地方公共団体は、その議会の議員〜(中略)〜に対し、報酬を支給しなければならない。」とあります。
 そして、同法同条4項に「普通地方公共団体は、条例で、その議会の議員に対し、期末手当を支給することができる。」とあります。
 また、同法同条3項に「第一項の者(筆者注:地方議会の議員など)は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる。」とあります。
 そして、同法同条5項に「報酬、費用弁償及び期末手当の額並びにその支給方法は、条例でこれを定めなければならない。」とあります。

 つまり、地方議会の議員は、条例の定めにより、報酬や期末手当、そして費用の弁償を受けることができるのです。

 よって、後半部分も妥当ですので、この肢は全体として妥当です。

 肢2:まず、地方自治法90条1項に「都道府県の議会の議員の定数は、条例で定める。」とあり、また同法91条1項には「市町村の議会の議員の定数は、条例で定める。」とあります。
 ですので、この肢の文の初めに「地方議会の議員定数は条例で定める」とある部分は妥当です。

 次に、地方自治法90条2項に「都道府県の議会の議員の定数は、次の各号に掲げる都道府県の区分に応じ、当該各号に定める数〜(中略)〜を超えない範囲内で定めなければならない。
 一 人口75万未満の都道府県 40人
 (ニ号以下略)」
とあります。

 つまり、地方自治法では、議員定数について、その地方公共団体の人口に応じて、上限を定めているのです。
 また、市町村の議会の議員についても地方自治法91条2項で、この同法90条2項と同じように、人口に応じた上限を定めています。

 よって、この肢の後半部分も妥当ですので、この肢は全体として妥当です。

 肢3:地方自治法92条1項に「普通地方公共団体の議会の議員は、衆議院議員又は参議院議員と兼ねることができない。」とあります。
 また、同条2項に「普通地方公共団体の議会の議員は、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び〜(中略)〜(以下「短時間勤務職員」という。)と兼ねることができない。」とあります。

 つまり、地方議会の議員は、衆議院議員・参議院議員を兼職することはできませんし、また他の地方公共団体の議員や、地方公共団体の常勤ないし短時間勤務の職員を兼ねることも禁止されているのです。

 よって、この肢は妥当です。

 肢4:地方自治法94条に「町村は、条例で、〜(中略)〜、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。」とある通りですので、この肢は妥当です。

 肢5:地方自治法96条1項各号には、議会の議決事項が定められていますが、同条2項では「前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。」と定められています。

 つまり、地方自治体が条例によって、自治事務につき議会の議決事項を追加することが認められているのです。

 よって、この肢は誤りです。

 以上より、答えは5です。



◆重要度:高

問題18 地方公共団体における監査制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 監査委員の権限は、地方公共団体の事務のうち、いわゆる自治事務を対象とするものであって、法律に特別の定めがない限り、法定受託事務には及ばない。
 監査委員の権限は、地方公共団体の財務に関する事務執行およびその経営に関する事業の管理などいわゆる「財務監査」に限られ、一般行政事務に関するいわゆる「事務監査」にまで及ぶわけではない。
 監査委員には複数の委員が選任されるが、他の行政委員会のようにその職務を合議機関として執行するのではなく、各監査委員が独任機関として、独立して権限を行使するものとされている。
 いわゆる外部監査制度の導入により、地方公共団体は、公認会計士、弁護士など、外部の一定の資格ある者(外部監査人)との外部監査契約に基づいて、その者の監査を受ける場合は、従来の監査委員をおかないことができることになった。
 住民は、有権者の50分の1の連署をもって監査委員に事務の監査を求める直接請求をした場合で、監査委員の監査結果に不服があるときは、さらに裁判所に対し住民訴訟を提起することができる。

【問題18の解説】 難易度:標準

 地方自治法の監査制度についての知識を問う問題です。このレベルの問題は、通常の学習でも十分に対応できますので、確実に得点したいところです。

 肢1:地方自治法199条2項に「監査委員は、前項に定めるもの(筆者注:いわゆる財務監査のこと)のほか、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により監査委員の監査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)の執行について監査をすることができる。」とあります。

 つまり、法定受託事務について、監査委員の権限が及ばない例外を定めている(条文内の下線部)、ということは、監査委員の権限は、自治事務だけでなく、法定受託事務にも及ぶことが前提とされている、ということを意味します。

 よって、この肢は妥当ではありません。

 肢2:肢1であげた199条2項にあるように、監査委員の権限は、財務監査のほか、事務監査にも及びます

 よって、この肢は妥当ではありません。

 肢3:地方自治法195条2項本文に「監査委員の定数は、都道府県及び政令で定める市にあつては四人とし、その他の市及び町村にあつては二人とする。」とある通り、監査委員には複数の委員が選任されます。

 そして、同条1項に「普通地方公共団体に監査委員を置く。」とあります。

 この条文で、監査委員会とせずに監査委員としているのは、委員が合議体として職務を行うのではなく、各委員が独任機関として、独立して権限を行うことを表しているのです。(もちろん、例外もありますが。)

 よって、この肢は正しいです。

 肢4:地方自治法252条の28に「普通地方公共団体が外部監査契約を締結できる者は、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者であつて、次の各号のいずれかに該当するものとする。
 一 弁護士(以下略)」とあります。

 つまり、地方公共団体は、一定の資格ある者と外部監査契約を結ぶことができるのです。

 そして、その契約を結んだ場合は、例えば地方自治法252条の30に「外部監査人は、監査を実施するに当たつては、監査委員にその旨を通知する等相互の連絡を図るとともに、監査委員の監査の実施に支障を来さないよう配慮しなければならない。」とあるように、外部監査人と監査委員は、その職務について連絡をとったり、配慮したりすることになっています。

 言い換えると、外部監査契約を結んだとしても、監査委員は置かれたままである、ということを意味しているのです。

 よって、この肢は妥当ではありません。

 肢5:いわゆる直接請求権の1つである事務監査請求の場合、その監査結果に不服があるときは住民訴訟を提起できるということを定めた条文がありません

 規定がない以上、住民訴訟を認めることはできないと考えられています。

 よって、この肢は妥当ではありません。

 以上より、答えは3です。



◆重要度:中

問題19 地方自治法上の「公の施設」に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

 公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供する施設を指し、法令に特別の定めのあるものを除いて、その設置、管理については、かならず条例の根拠を要する。
 公の施設は、相手方自治体との協議が整いさえすれば、当該施設を設置・管理する自治体の区域外であっても、これを設置することができる。
 自治体は、公の施設のうち条例で定める特に重要なものについてこれを廃止し、または特定の者に長期の独占的な使用を認めようとするときは、市町村にあっては都道府県知事の、都道府県にあっては総務大臣の認可を受けなければならない。
 自治体は、公の施設の設置目的を効果的に達成するために必要があると認めるときには、自ら当該施設を管理するのではなく、法人その他の団体であって当該自治体が指定する者(指定管理者)に、その管理を行わせることができる。
 自治体の長がした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は、市町村長がした処分については都道府県知事に、都道府県知事のした処分については総務大臣に審査請求をすることができる。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
5 五つ

【問題19の解説】 難易度:やや難

 地方自治法で定められている公の施設についての知識を問う問題です。公の施設については、重要なテーマの1つですので、たいていの方は、おおよそのことは学ばれていると思いますが、肢の記述がやや細かいのと、個数問題の形式であることを考えると、なかなか得点に結びつきにくい問題であるといえます。

 肢ア:地方自治法244条1項に「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設これを公の施設という。)を設けるものとする。」とあります。

 つまり、公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設を指す、としているのです。

 また、同法244条の2第1項に「普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。」とあります。

 つまり、公の施設の設置・管理については、原則、かならず条例の根拠が必要である、と定められているのです。

 よって、この肢は妥当です。

 肢イ:確かに、地方自治法244条の3第1項で「普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる。」と定められているので、自治体は、相手方自治体との協議により、その自治体の区域外である相手方自治体の区域に、公の施設を設けることができます。

 しかし、同条3項で「前二項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」と定められています。

 つまり、この協議は、議会の議決が必要とされているのです。

 ですので、協議が整いさえすればよい、とするものではありません。

 よって、この肢は誤りです。

 肢ウ:地方自治法244条の2第2項に「普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の三分の二以上の者の同意を得なければならない。」とあります。

 つまり、自治体が、公の施設のうち条例で定める特に重要なものについてこれを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとするときは、議会で出席議員の3分の2以上の者の同意が必要なのであり知事や総務大臣の認可が必要なのではありません

 よって、この肢は誤りです。

 肢エ:地方自治法244条の2第3項に「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」とあります。

 つまり、自治体は、指定管理者にその管理を行わせることができるのです。

 よって、この肢は妥当です。

 肢オ:地方自治法244条の4第1項前段に「普通地方公共団体のがした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は、都道府県知事がした処分については総務大臣市町村長がした処分については都道府県知事審査請求をすることができる。」とある通りですので、この肢は妥当です。

 以上より、誤っているものは肢イ、ウの2つですので、答えは2です。


↑上に行く

法令過去問講義のページに戻る