過去問講義 H17年憲法のページ
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◆重要度:高 問題3 次の記述は、日本国憲法の条文を基礎としているが、本来の条文にある重要な要素が欠けているなど、変更されているものが含まれている。選択肢1〜5のうち、本来の条文に照らして正しいものはどれか。 1 皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。 2 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 3 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命、自由若しくは財産を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。 4 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その補償を求めることができる。 5 国民、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 |
【問題3の解説】 難易度:易
条文の知識を問う問題です。過去、何回か基礎的な条文の問題が出題されています。これは、試験委員からの「法律の勉強は、条文を大事にしてね」というメッセージだと思います。
憲法に限らず、条文は法律の勉強の中心ですので、おろそかにせずに取り組みましょう。
肢1:この肢の文は、憲法2条の「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とまったく同じです。
よって、この肢は正しいです。
肢2:この肢の文は、憲法9条1項の「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と比べると、「武力による威嚇又は」の部分が欠けています。
つまり、この肢の文は、9条1項を変更して作成されています。
よって、この肢は誤りです。
肢3:この肢の文は、憲法31条の「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」と比べると、生命、自由の後ろに「財産」が付け加えられています。
つまり、この肢の文は、31条を変更して作成されています。
よって、この肢は誤りです。
肢4:この肢の文は、憲法17条の「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」と比べると、「賠償」が「補償」に変更されています。
よって、この肢は誤りです。
肢5:この肢の文は、憲法99条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と比べると、天皇の前に「国民」が付け加えられています。
つまり、この肢の文は、99条を変更して作成されています。
よって、この肢は誤りです。
以上より、答えは1です。
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◆重要度:高 問題4 次の文章は、ある最高裁判決の補足意見の一節である。選択肢1〜5のうち、この補足意見とは考え方の異なる見解はどれか。 選挙運動においては各候補者のもつ政治的意見が選挙人に対して自由に提示されなければならないのではあるが、それは、あらゆる言論が必要最少限度の制約のもとに自由に競いあう場ではなく、各候補者は選挙の公正を確保するために定められたルールに従って運動するものと考えるべきである。法の定めたルールを各候補者が守ることによって公正な選挙が行なわれるのであり、そこでは合理的なルールの設けられることが予定されている。このルールの内容をどのようなものとするかについては立法政策に委ねられている範囲が広く、それに対しては必要最少限度の制約のみが許容されるという合憲のための厳格な基準は適用されないと考える。 (最判昭和56年7月21日刑集35巻5号577頁以下) 1 憲法47条は、国会議員の選挙に関する事項は法律で定めることとしているが、これは、選挙運動については自由よりも公正の観点からルールを定める必要があり、そのために国会の立法裁量の余地が広い、という趣旨を含んでいると考えられる。 2 国会は、選挙区の定め方、投票の方法、日本における選挙の実態など諸般の事情を考慮して選挙運動のルールを定めうるのであり、これが合理的とは考えられないような特段の事情のない限り、国会の定めるルールは各候補者の守るべきものとして尊重されなければならない。 3 公職選挙法による戸別訪問の禁止は、表現の自由を制限するものと考えれば、これを合憲とするために要求される厳格な基準に合致するとはいえないが、選挙の公正を碓保するためのルールであると考えられるので、そこに一定の合理的な理由が見出される限りは、国会の立法裁量を尊重すべきであり、合憲的な規制であると考えられる。 4 戸別訪問には、選挙人の生活の平穏を害し、買収・利害誘導等の温床になりやすいなどの弊害が伴うことは否定できない一方、これを禁止する公職選挙法の規定は、自由な意見表明そのものの制約を目的とするものではなく、意見表明の手段方法がもたらす弊害の防止を目的としているにすぎないから、厳格な基準は適用されず合憲である。 5 もとより戸別訪問の禁止が、選挙の公正を確保するための立法政策として妥当であるかどうかについては、考慮の余地があり、実際、戸別訪問の禁止を原則として撤廃すべしとする意見も強いが、これは、その禁止が憲法に反するかどうかとは別問題である。 |
【問題4の解説】 難易度:やや難
この手の問題形式が苦手な方にとっては、どう手をつけてよいのか分からないので「イヤな問題だな」と感じられると思います。
しかし、過去にもこの形式の問題が出題されていることから、今後も繰り返し出題される可能性がありますので、しっかりと慣れておいた方が良いでしょう。
また、一般知識の文章理解と、解き方が似ている部分もありますので、あきらめずに挑戦してみてください。
では、まずは本文(補足意見の部分)の内容を見ておきましょう。
簡単にまとめてみますと、選挙運動での言論については、自由に競い合うべきではなく、公正さを確保するために、ルールに従って行うべきである、と述べています。
そして、その公正さを確保するルールは、立法政策すなわち立法裁量に広く委ねられているのであるから、表現の自由に対する制約についての憲法判断基準である「厳格な基準」は適用されない、と述べています。
つまり、選挙運動に対する制限は、表現の自由に対する制限というよりも、公正さを確保するための制限であるから、立法裁量を尊重するために、厳格な基準は適用されない、ということが述べられています。
まずは、ここまでをしっかりと理解してください。まさに文章理解です。この問題では、文章の内容を理解する力が求められているんですよ。
次に、これを踏まえて各選択肢を考えてみましょう。
肢1:この肢の文の内容をまとめると、「憲法で、選挙事項は法律でこれを定めるとされている理由は、選挙運動の自由というより、公正さを確保をするためのルールを定める必要があるため、国会の裁量を広く認めている趣旨を含んでいるからだ」となります。
よって、この肢の文は、補足意見の内容と同じことを述べていますので、補足意見とは考え方が異なる見解であるとはいえません。
肢2:この肢の文の内容をまとめると、「国会は選挙についてのルールを定めることができ、そのルールは、特別な事情がある場合を除いて、尊重されるべきだ」となります。
言い換えると、国会が定めた選挙についてのルールは、立法裁量を尊重しましょう、ということを述べているのです。
よって、この肢の文は、補足意見の内容と同じことを述べていますので、補足意見とは考え方が異なる見解であるとはいえません。
肢3:この肢の文の内容をまとめると、「戸別訪問の禁止は、表現の自由を制限するものというよりも、選挙の公正を確保するためのルールであるから、国会の立法裁量を尊重するべきだ」となります。
よって、この肢の文は、補足意見の内容と同じことを述べていますので、補足意見とは考え方が異なる見解であるとはいえません。
肢4:この肢の文の内容をまとめると、「戸別訪問を禁止する規定は、表現の自由そのものを制限するものではなく、表現の手段などを制限するにすぎないものだ」となります。
つまり、選挙の公正を確保するためのルールだから立法裁量を認めるべきだ、という論理展開ではなく、内容ではなく手段の規制にすぎないから合憲だ、という論理展開をしているのです。
よって、この肢の文は、補足意見の内容とは、考え方が異なる見解に基づいたものといえます。
肢5:この肢の文の内容をまとめると、「個別訪問の禁止は、選挙の公正を確保するための立法政策であるが、その立法政策が妥当かどうかはしっかりと考えるべきであり、中には撤廃した方が良いという意見も実際にある。しかし、それは憲法に違反するかどうかとは別個の問題である」となります。
つまり、この肢の文は、何やらいろいろ述べていますが、それは、個別訪問の禁止は選挙の公正を確保するための立法政策であることを前提にして、述べているのです。
ちなみに、この肢の文は、他の肢とは異なる角度から述べられているので、一見これが正答に思えてしまいますから注意が必要です。
あくまでもこの肢の文は、さっきお話ししたように、個別訪問の禁止は選挙の公正を確保するための立法政策であることを前提にしているのです。
よって、この肢の文は、補足意見の見解と同じ見解に立って述べていますので、補足意見とは考え方が異なる見解であるとはいえません。
以上より、答えは4です。
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◆重要度:高 問題5 次の衆参両院の議事運営に関する記述のうち、正しいものはどれか。 1 日本国憲法は、議事運営につき、戦前の議院法に相当する国会法の制定を予定しているが、法律の定めていない細則については、各議院の議院規則にゆだねられている。 2 政府委員の制度は、日本国憲法の下では、国会法上の存在にとどまり憲法の予定するところではなかったが、戦前からの伝統を受け継ぎ今日まで維持されている。 3 日本国憲法は「両議院は、国民より提出された請願書を受けることができる。」と定めるにとどまるが、いわゆる請願権を憲法上の権利と解するのが通説である。 4 日本国憲法は「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。」とするが、各議院の議決で付託され閉会中に審査した案件は、後会に継続するのが慣例である。 5 衆参両院の会期は同じであり、衆議院の側の事情によって行われた閉会、会期の延長は、参議院の活動能力をも左右することになる。 |
【問題5の解説】 難易度:やや難
この問題は、解けそうで解きにくいものですね。それは、大きく2つの特徴を持った問題だからなんです。
まず、1つ目の特徴は、肢1と肢2で、「戦前」という言葉を使って受験生を惑わせよう(作問者がそう意識していたかどうかは解りませんが。)としている点です。受験生の中で、大日本帝国憲法をじっくり勉強されている方がほとんどいないと思われますので、「戦前」という言葉が肢に入っていると、何だか難しく感じてしまうのです。
そして、2つ目の特徴は、肢2で「政府委員」という、一般教養(H18年以降は一般知識)で問われそうな政治用語を使って受験生を惑わせようとしている点です。
このような特徴がある結果、この問題は何を問いたいのかがよく分からなくなってしまい、その結果、何に着目して正誤の判断をすればよいかが分かりづらくなるので、解きにくくなっているのです。
しかし、この問題は、肢で問われている事について、日本国憲法に規定があるかないかが判断できると、解けたも同然なんです。
つまり、日本国憲法の条文の知識を問う問題なのです。それでは、肢別に説明します。
肢1:たとえ「戦前の議院法」なんて知らなくても良いんです。日本国憲法に「議事運営は国会法で定め、細則は議院規則に委任することができる」というような規定があるかないかで正誤の判断をするんです。
よって、このような規定は日本国憲法にはありませんので、この肢は誤りです。
念のため説明を加えておきますと、大日本帝国憲法51条では、「両議院ハ此ノ憲法及び議院法ニ〜(略)〜」という定めがありますので、議院法の存在は予定していたといえますのでご参考に。
肢2:この肢だけは時事の知識が必要になります。政府委員の制度は、確かに存在したのですが、1999年に「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」という長〜い名前の法律が制定され、この法律により政府委員の制度は廃止されました。官僚主導の政治から政治主導への改革の一つとして行われたことは、一般知識の政治で学ばれた方も多いと思います。
よって、この肢の文は「政府委員の制度〜今日まで維持されている」としていますので、誤りです。
肢3:この肢も、肢1と同じように、日本国憲法で「両議院は、国民より提出された請願書を受けることができる。」というような規定があるかないかで正誤の判断をします。
よって、このような規定は日本国憲法にはありませんので、この肢は誤りです。
肢4:この肢も、肢1や肢3と同じように、日本国憲法で「会期中に議決に至らなかつた案件は、後会に継続しない。」というような規定があるかないかで正誤の判断をします。
よって、このような規定は日本国憲法にはありませんので、この肢は誤りです。
肢5:以上のように消去法で、この肢が正しいことがわかります。
ちなみに、この肢は、日本国憲法に規定があるかないかで判断するものではありません。
念のため説明しておきますと、両議院の活動については、「同時活動の原則」が採られています。
これは、衆議院と参議院は、同時に活動を開始し、同時に活動を終える、という原則です。
つまり、活動の開始と終了を、衆参同時にしましょう、ということです。
よって、この肢の文は「同時活動の原則」を述べたものなので、正しいです。
以上より、答えは5です。
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◆重要度:高 問題6 日本国憲法が定める身分保障に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1 いわゆる議員特権の一つとして、両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受けるものとされている。 2 皇室財産については、憲法上、すべて国に属するものと定められ、皇室の費用も、すべて予算に計上して国会の議決を経なければならないとされている。 3 裁判官の身分保障に関連して、下級裁判所の裁判官の任期は10年であり、仮に再任されたとしても、法律の定める年齢に達したときには退官するものとされている。 4 裁判官の身分保障に関連して、下級裁判所の裁判官は、憲法上、すべて定期に相当額の報酬を受け、在任中、これを減額することができないと定められている。 5 公務員の身分保障の一環として、官吏は、憲法上、すべて定期に相当額の報酬を受けるものと定められている。 |
【問題6の解説】 難易度:易
日本国憲法の条文の知識を問う問題です。問題5と異なり、変なヒネリをしていない、素直な問題なので、確実に得点したいところですね。
肢1:憲法49条に「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」とある通りですので、この肢は正しいです。
肢2:憲法88条に「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。」とある通りですので、この肢は正しいです。
肢3:憲法80条1項に「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。」とある通りですので、この肢は正しいです。
肢4:憲法80条2項に「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」とある通りですので、この肢は正しいです。
肢5:憲法では、官吏について、すべて定期に相当額の報酬を受けるという定めはありません。よって、この肢は誤りです。
以上より、答えは5です。
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◆重要度:高 問題7 次の事項に関連して、日本国憲法および公職選挙法が予定する裁判作用とその担い手の組合せとして、正しいものはどれか。 A 国会議員の資格をめぐる裁判 a 議院 B 国会議員の選挙の効力をめぐる裁判 b 国会 c 裁判所 1 A−a B−b 2 A−b B−c 3 A−c B−a 4 A−a B−c 5 A−b B−a |
【問題7の解説】 難易度:やや易
Bの「国会議員の選挙の効力をめぐる裁判」で、一瞬戸惑われる方がいらっしゃるかも知れませんが、消去法で考えると、それほど恐れる問題ではありませんね。
まず、Aの資格争訟裁判権は、憲法55条にある通り、各々の議院にあります。よってAはaと組み合わせられます。
この時点で、選択肢は1と4に絞ることができます。ですので、Bはbかcと組み合わせられることになりますね。
次に、Bの裁判についてです。ところであなたは、憲法の条文で「選挙の効力をめぐる裁判は、国会でこれを行う。」というようなことを学ばれたことがありますか?そんな条文、見たことがありませんよね。
ですので、Bはbとではなく、cと組み合わせられることを予想して答えを出すことができますね。
一応、ちゃんと説明しておきますと、国会議員の選挙の効力をめぐる裁判については、公職選挙法204条で「中央選挙管理会を被告として、選挙の日から30日以内に、高等裁判所に訴えを提起できる」ということが定められています。
つまり、国会議員の選挙の効力をめぐる裁判は、裁判所が担当しているのです。
以上より、答えは4です。
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